リンパ浮腫について 2

リンパ管の走行とリンパ浮腫の発症要因
四肢のリンパ管は中心の骨や筋肉でなく体表の皮下に集中しており、リンパ液は上肢は腋窩リンパ節、下肢は鼠径リンパ節に集まります。リンパ節というのは、リンパ液を一時的に貯留させる池のようなものです。
下肢のリンパ管(リンパ液)は、左右の鼠径リンパ節に送られた後、体幹(胴体)の中心へ入って行き、上昇して腹・胸の中を通り鎖骨近くの静脈(静脈角という)に合流します。上肢のリンパ管(リンパ液)は、左右の腋窩リンパ節に送られた後、鎖骨近くの静脈角に合流します。頭や首のリンパ管(リンパ液)は、首の付け根にある左右の頸部リンパ節に送られた後、静脈角に合流します。
体幹(胴体)のリンパ管も体表の皮下にあり、左右の鼠径リンパ節と腋窩リンパ節に送られます。
基本的なことを説明すると、静脈とリンパ管には逆流しないように弁がついており、一方向に流れる構造になっています。どちらも管そのものが液を流すような動きはするものの、その多くはからだを動かすことにより、管のそばの筋肉が収縮して管が圧迫されて液が押し出されて、静脈角や心臓に流れるのです。
これまで説明してきたリンパ管の走行のどこで障害が生じても、流れがせき止められて組織間質にリンパ液が溢れてしまい浮腫が発症します。たとえば手術でリンパ節を郭清(切り取る)すれば、リンパ液の一時的な貯留ができないために浮腫が発症します。また、リンパ管に問題がなくても、静脈に障害があれば、やはり浮腫が発症します。たとえば、静脈瘤で静脈の流れが滞れば、それを補うリンパ管の負担が増して浮腫が発症します(慢性静脈機能不全症)。また、心臓のポンプ機能が衰えて静脈血を受け入れることができなければ、やはり静脈とリンパ管の負担が増して浮腫が発症します(心性浮腫)。

リンパ浮腫の分類
原発性リンパ浮腫と続発性リンパ浮腫に分けられます。原発性リンパ浮腫とは発症の原因疾患が確定しないもの、続発性リンパ浮腫とは発症の原因疾患が確定しているものをいいます。原発性リンパ浮腫は、生まれつきリンパ管が発育不全のものと(先天性リンパ浮腫)、35歳以前に発症した早発性リンパ浮腫、35歳以降に発症した晩発性リンパ浮腫に分けられます。35歳で分けている理由は、妊娠や出産などを考慮しています。やはりリンパ浮腫は女性に多いのでしょうか。続発性リンパ浮腫は、リンパ節の郭清などの手術後や外傷後、深部静脈血栓症、悪性腫瘍の憎悪などによります。

リンパ浮腫の症状
ここは、簡略化して列記しておくに留めます。①むくみ②だるさ・重さ・疲労感③皮膚の乾燥・硬化④線維化・脂肪増生⑤皮膚の角化・象皮症⑥多毛⑦疼痛⑧皮膚の色調変化

今回は、ここまでにします。リンパ浮腫の症状については、上記に示した通りでほぼ想像できると思いますが、問題なのは合併症が伴うことです。これについては、また次の稿で説明します。
この稿の参考文献および引用した図表は前回と同じく以下です。
「リンパ浮腫の治療とケア」佐藤佳代子編者 医学書院 2005年4月発行

リンパ浮腫について 2” に対して2件のコメントがあります。

  1. かつみ より:

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    1. katsumi より:

      ご覧いただき、ありがとうございます。
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