14年ぶりのニューアルバム

20年程前、路上ライブで涙を流す若者たちがいるという報道がTVで流れていました。その歌い手は元ちとせさんで、奄美大島出身。100年にひとりの声というのがキャッチフレーズで、「ワダツミの木」でメジャーデビューしました。この7月に14年ぶりのニューアルバムを出すというので、それまでに出されたアルバムを聴き直してみました。
14年間のブランクの原因は、音楽プロデューサーのひとりである上田現さんが亡くなったことが大きかったようです。上田現さんは、「ワダツミの木」や「ハイヌミカゼ」などの楽曲を提供した人で、私はこの「ハイヌミカゼ」でファンになりました。
レゲエ調のミディアムテンポで淡々と言葉がつづられ、声は徐々に高音域に入り、地声と裏声がコロコロと反転する独特な歌唱法は、原始的で野性的、生命力に満ちあふれています。そして、その詞の世界にも独特なものがあります。
現世に生きていながら、魂ここにあらずで、生きている気がしない。まわりの人には私が見えない、あるいはまわりの人に、私が見えないように自ら振る舞っている。それでも、逆に私を見てほしい。私を知ってほしい。忘れないでほしい。私はここにいるという思い。私は一時期、そんな思いにかられたことがあります。その時の感情や感覚が、この「ハイヌミカゼ」の歌詞とリンクし共鳴しました。自分でも忘れていた過去の感情や感覚、あるいは無意識に追いやっていたことが蘇ることで、それまで抱えていたネガティヴな思いが氷解し浄化しました。

新しいアルバムに上田現さんの作品はありませんが、またいい曲がありそうです。


ハイヌミカゼ  作詞・作曲・編曲 上田現

あなたに見えますか? 私の姿
あなたに聞こえますか? 私の声

地図に隠された 道をたどり
ここまで来てよ そこにいるから

どんなに離れても
遠くにいても
きっとわかるから
きっと会えるから

今日は舞踏会の日。
まるで果てを知らない この大地の上で
三日三晩続く

あなたに私が見えるのなら
あなたにこの音が聞こえるのなら

私と踊ってよ 夕日が壊れるまで
私と踊ってよ あの森が溶けるまで
私にふれてよ ねぇ いつまでも

喜びも 悲しみも もう動かないものも
美しきものも 醜きもの
思い出せない どうしても思い出せない人
踊ってよ 踊ってよ
地図はどこにありましたか?
きっと来てよ きっと来てよ
今 灯をともすよ

私と踊ってよ あの砂が燃え尽きるまで
私にふれてよ ねぇ いつまでも

私と踊ってよ ねぇ いつまでも

アルバム「ハイヌミカゼ」元ちとせ(エピックレコードジャパン)より


写真は、ニューアルバム「虹の麓」(ユニバーサルミュージック)と田中一村さんの絵画。
田中一村(1908-1977)さんは奄美大島に移り住んだ日本画家。

14年ぶりのニューアルバム” に対して2件のコメントがあります。

  1. かつみ より:

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    1. katsumi より:

      ご覧いただき、ありがとうございます。
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